蕎麦子さんの栞

読書感想文と本にまつわるあれこれ。

やっぱり、紙の本が好き!

 *本は体験するもの

  Eテレで、ブックデザイナー祖父江慎さんが「本は、情報を提供するだけではない。体験をさせてくれるのだ」とお話されていて、その言葉にいたく共感したのでありました。

 確かに本は、文章の部分でも話の中に入り込んで”体験”することができますが、物質・物体としてもいろいろな”体験”をさせてくれます。紙の質感、形状、温かさ、冷たさ、などなど。それらが本の内容と相まって、ますます奥行きが広がっていくのです。

*なんだか物足りない部分のある電子書籍

 私が本当に本が好きなのだなあと痛感したのは、便利さを優先した挙句に、それまで持っていた本をすべて自炊代行業者にお願いし、PDFファイルにしたときでした。最初は、自分の書斎が(実際には書斎はありませんが)、iPadの中にあり、いつでもどこでも好きな本を選んで読むことができるということに満足していたのですが、そんな気持ちも長続きせず、空っぽになった本棚を見て無性に寂しくなってしまったわけです。

 電子書籍にしてしまうと、同じ内容でも何か物足りない気持ちがするのは私だけでしょうか?本の装丁を楽しんだり、自分のお気に入りのしおりを挟んだり、眠気を押して読んでいてバサッと本が閉じられてしまってあれ?どこまで読んだっけ?みたいになったり、片手に本(主に文庫)、片手におやつ又はコーヒーみたいなスタイルで読んだり、ちょっと思いつくだけ書いてみても、楽しそうじゃあないですか?

*ノスタルジィを感じる活版印刷

 2016年に世田谷文学館開館20周年記念に「おるもすと」という本が出版されました。著者は吉田篤弘さん。クラフト・エヴィング商會として本の装丁もされている方で、この「おるもすと」も、紙にもこだわり、書籍としてはめずらしい活版印刷(ひと文字ひと文字活字を組んで印刷する)だったので、限定1400部しか作れず、当然完売したそうです。

 私は運良く世田谷文学館から直接通販で手に入れることができました。手にとってみて、紙の質感もとても良く、本当に素敵な本で感激でした。印刷なのに手作り感があるというのは手にしないとわからないですよね。活字もちょっとだけずれている部分があったりするわけです。均一均等ではないということの温かさを感じます。

*「おるもすと」復刊!

 そして、今年。2018年9月。この「おるもすと」が特別版エッセイを追加して、講談社より復刊したのです。残念ながらこちらは活版印刷ではありませんが、なにしろエッセイが追加されているとなれば、吉田ファンとしては買わずにはいられません。即、Amazonでポチりました。そして、並べて眺めてみると、おおむね雰囲気は同じようにつくられていますね。でもやっぱり、活版印刷、良いなあ、味があるなあと思います。

 ああ、やっぱり、紙の本が好き!

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